《MUMEI》 まるで何かに憑かれているかのように大きく見開かれ、その目元にははっきりとわかるほど濃い隈が見えた。 二人は目をぎらつかせて周辺に視線を走らせている。 ユウゴは頭を引っ込めて、その二人が遠ざかるのを待つ。 響く足音は徐々に遠くなっていく。 そのまま行ってくれ、とユウゴが心の中で呟いた時、ガチャッと別の音がその場に響き渡った。 玄関のドアが開かれ、ユウゴの顔を暖かな光が照らしていく。 そして、ドアの向こうからひょっこりと女が現れた。 エプロンをつけた女は手にゴミ袋を持ったまま、呆然とユウゴを見つめている。 ユウゴは慌てて両手を前に突き出して、彼女を抑えようとしたが遅かった。 彼女は、二、三度瞬きをしたかと思うと「なんですか、あなた!」と大声で叫び始めたのだ。 遠ざかりかけていた足音がピタリと止まり、駆け足で戻ってくるのが聞こえる。 ユウゴは舌打ちすると、まだ何か叫んでいる女を無視して車のトランク部分に飛び乗った。 そのまま屋根まで上がり、勢いをつけて門を飛び越えた。 ユウゴは着地すると、すぐに駆け出そうと体の向きを変えた。 しかし、目の前にはすでにあの二人の男が待ち構えていた。 前へ |次へ |
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