《MUMEI》 「あっ、小鳥──」 アンリ様が仰ると同時に、その御方が掲げた手に小鳥が止まりました。 「凄いですね──、?」 どうやら今度は──僕の頭に止まったようです。 「ふふっ、リュート、気に入られたみたいだね」 「そう──なんですか‥?」 「うん、きっとそうだよ」 「───────」 「──あちらも御覧になりますか?」 「うんっ」 「では──参りましょうか」 そっと手をとると、日溜のような温もり。 向けられた笑顔は、花のよう。 微風に靡く髪は陽の光に似て。 碧い瞳は空のよう──。 思わず見とれてしまいました。 前へ |次へ |
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