《MUMEI》
第六華
「‥‥‥‥く‥っ」

(太刀打ち出来ぬ‥)

 この程度ならば斬る事は容易い。

 だが、思うように体が動かない。

(‥あいつは‥何故居なくなった‥?)

 考えて分かる事ではない。

 彼女自身、それは分かっている。

 だが、不可解でならない。

「一つ‥訊きたい事がある」

「‥?」

「拙者といた男をどうした」

「さあな」

「貴様‥っ」

 雛菊は足を払い、相手が体勢を崩した隙に一太刀入れようとした。

 だが。

「‥‥‥‥な‥っ」

 その刃は、防がれてしまっていた。

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