《MUMEI》

 雛菊は草助を担ぐようにしながら、荒ら屋に転がり込んだ。

「おい、何だよいきなり──、おいっ!?」

「傷は何処だ。見せてみろ」

「いや、だから大した事ねぇって──」

「放っておく訳にはいかぬのだっ」

「‥!?」

「分かったらさっさとしろ」

「‥は、はい‥」

 草助はびくつきながら、袖を捲りあげた。

「‥!」

 雛菊はその傷を見、目を見張った。

 かなり深く切れている。

(これの何処が大した事無いというのだ‥)

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