《MUMEI》 (‥馬鹿者め‥) 雛菊は、きりきりと胸が痛むのを堪えるだけで必死だった。 (何故自分を守ろうとせぬ‥。何故私ばかりを守ろうとする‥) 見上げた空が、歪む。 涙で視界がぼやけてくるのを気にも留めず、雛菊はただ上を見ていた。 (あのような怪我をして‥にも関わらず私を‥) ふと彼女の脳裏に蘇ったのは、あの日の事。 そして思う。 強くなるのだ、と。 足元の枝を拾い上げると、雛菊はそれを構えた。 そしてそれを、黙々と竹刀のように振っていた。 前へ |次へ |
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