《MUMEI》

「ほらっ、こんなに沢山」

アンリ様は御自分のバスケットを傾けて、中を僕に見せて下さいました。

「本当に沢山御摘みになりましたね──」

これだけあれば、色々作れそうです。

タルトやムースにしても美味しそうですね──。

ジュースなどにも出来るでしょうか。

「わぁ、リュートも沢山摘んだね──」

「そ‥そうですか‥?」

アンリ様の方が沢山摘まれていると思うのですが──。

「あっ、向こうにもあるよっ」

アンリ様が駆け出されたので、僕は慌てて後を追い駆けました。

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