《MUMEI》

「──────‥」

 どれ位経ったのだろう。

 雛菊は未だ、枝を構えては振る事を繰り返していた。

 だが、思うように続かない。

(草助の馬鹿者め‥)

 怒りは一向に治まらない。

 だがふと、懐に手を入れる。

 取り出したのは、簪。

 草助が彼女に買った物だ。

「‥‥‥‥‥‥‥」

 高価であったに違いない。

 それを私に買い与えるとは。

 雛菊には、草助が何故自分にそこまでするのかが、分からない。

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