《MUMEI》

「──‥どうすっかなぁ‥」

 いくら待っても戻らない雛菊。

 流石の草助も呑気にしてはいられない。

「よっ‥」

 立ち上がると、雛菊のいるであろう方角に足を運んだ。

「っと──‥」

 見渡すと、壁の陰から黒髪が靡くのが見えた。

 空を切る音から、素振りをしているらしいと分かる。

「雛──‥」

 呼び掛けると、素振りの音が止まった。

「‥‥‥‥‥動くなといった筈だ」

「ぇ」

「まだ癒えておらぬであろう」

「いや、お前が手当てしてくれたしさ、ましになったぜ?」

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