《MUMEI》

「これを──御召し頂けますか」

「わぁ──っ」

「きっと御似合いですよ」

「えっと‥、これ‥どうやって結ぶんだっけ──」

「御貸し頂けますか」

「うん」

「失礼致します」

エプロンのリボンを結んで差し上げると、アンリ様はクルリと僕に向き直ってにっこりとされました。

「似合う──かな」

「はい、とても良く御似合いです」

僕が言うと、アンリ様はエプロンの裾を持ち上げてみたり、ひらひらとしたフリルをうっとりと見つめたりしてらっしゃいました。

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