《MUMEI》 「俺等は特別なんだよ。」 「………。」 「昔、お前の父さんだって言ってたじゃねぇか。」 「……。」 「黙ってないで何とか答えたらどうだ?」 俺は戸惑いながら、重たい口を開いた。 「昔と……今じゃ違うよ。」 「は?」 「今は昔とは違うんだよ。 俺は特別じゃない。」 「おまっ、何言って……。」 「確かに俺達は世間でも有名な存在だ。 見知らぬ人が押し寄せてくるのもその例だ。」 「ほらな、だから言ったろ? 俺達はとく……」 「でもそうだからと言って、 俺達は特別じゃない。 人間には変わりないだろ?」 「……根拠は?」 「あるよ。 見たままじゃないか。」 「どこが……。」 「それに賢ちゃんにも言われただろっ! 人間は痛みが分かるって!!」 「俺には痛みなんて……。」 「分かるっ! 痛みが分かるよ!! だって助けてくれたじゃないか!!」 「俺がいつ……。」 「覚えてないのか? 俺達が出会って間もない頃のことだよ。」 前へ |次へ |
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