《MUMEI》 いつまでそうしていただろう。 辺りは真っ暗だった。 けれど涙は止まらない。 俺は一人なんだ。 そう思うと、 堰を切ったように涙が溢れてきて………。 自分がとても惨めに思えた。 「なあ、何泣いてんだ?」 突然、背中越しに声を掛けられた。 驚いて振り返ると、 俺と同じぐらいの少年が立っている。 クリッとした二重の大きな瞳が、 不思議そうに俺を写し出していた。 小さな体に似つかない、 大きなスポーツバックを抱えている。 「何か会ったのか?」 そう言うと俺の隣りに座って、 よしよし、と背中を擦ってくれた。 俺は、初対面なのに妙に安心感を覚えて、 その少年に泣き崩れる形で身を任すと、 声を上げて泣いた。 「我慢……してたんだな。」 その言葉に、 更に涙が溢れてくる。 この時、ああ、やっと出会えたんだと思った。 “友達” そう呼べる人に。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |