《MUMEI》

ジャムが出来上がったので、予め作っておいたタルト生地に流し込みます。

「綺麗な赤──」

木苺の赤い色に見とれて、アンリ様は目を細めて居られます。

「後は──オーブンで焼けば完成です」

余熱をしておいたオーブンにタルトを入れて、焼けるまでの間──僕達は暫く談義に興じていました。

「ぁ‥」

「リュート?」

「木苺がまだ余っていますし、ジュースなど如何でしょう」

「わぁ、木苺のジュース?」

「はい、タルトが焼き上がるまで時間がありますし──」

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