《MUMEI》
いつも
ぼくが帰ろうと言っても兄ちゃんが一緒に帰ってくれることは、ないでしょう。


ぼくが母さんと父さんのアパートに帰ってくると、父さんが母さんの頬っぺたを叩きました。

母さんも近くにあったリモコンを使って父さんを殴りました。

「家政婦を今度から雇うから正平はこっちで面倒を見る、お前にはもう任せられない」

「そもそもの原因は貴方が昌を引き取ったからでしょう!正平まで居なくなってしまったらどう責任取ってくれるの!
あの女ともまだ切れてないみたいだし、こんな環境で子供が育つものですか!」

「安定しない仕事で一人で生活するのもやっとのくせに。昌に長男だからとか言っていろいろやらせたり、愚痴ばかり言ってたんだろ?それが負担になってたんだよ!」

とてもうるさかった。
こんなとき、ぼくはどうすればいいのか分からなくて、立って見ていることしか出来ませんでした。怖かったです。

「とにかく正平は私が預かりますから!」

「一度、ちゃんと弁護士を通して話し合う必要があるようだな」

「母親が子供を育てて何が問題あるのよ!
正平は、正平だけは私のもの……誰にも渡さない!」
母さんがぼくの両肩を鷲掴んで玄関まで引きずられました。

母さんの顔を覗くとまるで鬼のようでした。
いつもなら、二人のケンカが始まると兄ちゃんがぼくを連れて奥の部屋に入って、一緒にご飯を食べたり、音楽を聴いたりしました。

兄ちゃんがいつも、ぼくを守ってくれてました。

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