《MUMEI》
混乱(櫻視点)
「ど、どうかされましたか?」


一体どうしたのかしら?


私の言う事を聞いてやっと桜に背中を預けた蒼様が


突然、姿勢を元に戻してしまいました。


「あ、お…」


『様』


そう、言おうとしたのに、私は何も言えませんでした。


「へぇ、一回死んでても、苦しいんだ?」


苦しい


苦しい


苦しい


息が、上手く出来ない。


「細い首だな」


ギリッ


「…ッ…」


蒼様は、更に力を加えました。


私の、首を締める指の…


力、を


どう…して?


虚ろな私の目には


先程までとは違う、蒼様が

鬼のような形相の、蒼様が

うつっていました。


「俺を騙したんだ。…優しくなんかしねーぞ。

お前が悪いんだ」


次の瞬間


後頭部と、背中に強い痛み

体に感じる、重み


…何?


これは?


これじゃあ…


ア ノ 時 ト 同 ジ





あの時?


あの時って…いつ?


ア ノ 男 ト 同 ジ


あの男って


…誰?


《忘れなさい、櫻》





ダ 、レ?

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