《MUMEI》
千年桜に宿るもの
その時


櫻は、蘇る記憶の波に飲まれており


蒼は、怒りの波に飲まれていた。


《仕方ないな》


二人のサクラの様子をただ見つめていたその存在は


それだけ、呟くと


行動を起こした。


《愛しい娘の為》


その為に その存在(もの)は


かつて


小早川 昭人を殺害し


九十九人の生気を奪った


《あまり、失望させるな、百人目。我は、お前に賭けておるのだからな》


百人目は、最後の砦


櫻が人になれるか否かは


すべて、蒼にかかっている

その事を、この時の二人はまだ、知らなかった

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