《MUMEI》 ゆっくりと植え込みから顔を出し、病室の窓をよく見ると、 …ベッドに座る女の子が、見えた。 歳は14〜5歳ぐらいだろうか、でも何だかとても大人びて見える。 「すごくきれいな石ね。大切にするわ」 女の子はそう言って、白ネコの頭を撫でた。 ネコは、気持ちよさそうに目を細める。 女の子の手は病的に白く、弱弱しく細かった。 そして、もう片方の掌には小さな桃色の小石を載せていた。 「…もう帰っちゃうの??―…気をつけてね」 女の子がそう言うと、ネコはすとんと地面に降り立った。 私は慌てて身を隠す。 女の子は、何回か息苦しそうな咳をすると 「…また来てね!」 と、言った。 『にゃー』 ネコは、それに答えるように鳴いた。 隣の椎名くんを見ると、何かを考え込むように地面を見つめていた。 私が何か声を掛けようとした、そのとき。 『きゃん!!』 ゴジラが鳴いて、植え込みから飛び出した。 前へ |次へ |
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