《MUMEI》
ゴジラ 〈おれ〉
声だけが、聞こえた。


弱弱しい、でも明るい少女の声。



まるで、ネコと会話してるかのような―…




白ネコは、あの子に会いに来たのか―…??



おれが考え込んでいると、



『きゃん!!』



いきなりゴジラが鳴いて、植え込みから飛び出していった。



―…ネコを追っていったんだ。



おれ達は慌てて後を追った。



―…何故かわからないけど、
あのネコを捕まえてはいけないような気がしていた。



「…どうしよう、ゴジラが―…」



蓬田が途方に暮れたように言う。



「…しっ」



おれは唇に指をあてて蓬田の言葉を遮った。



「…あっちから、聞こえる」




―…微かに、ゴジラの鳴き声が。




おれは蓬田の腕を掴み、声のするほうへと足を向けた。

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