《MUMEI》

「良かったら、話してくんねぇ?」


その少年は、
ニカッと俺に眩しいくらいの笑顔を見せた。


そうして、フッと優しい目付きになると、


「言えないなら構わねぇけどよ、
言ったらスッキリするぜ!!」


柔らかい口調でそう言った。


俺は何だか訳の分からないまま、
全てを彼に打ち明けていた。


でも、少しも躊躇わずに打ち明けられた。


それは、彼の明るい性格に惹かれたかも知れない。


あるいは、羨ましかったのかも知れない。


彼の嘘偽りない、屈託のない笑顔に。


ポツポツと、決して聞き取り易くはない俺の話を、
彼は時折うんうん、と相槌を打ちながら、
黙って真剣に耳を貸してくれた。


そうして一通り俺が話し終えると、


「ひでえな……。」


哀れんだ眼差しを俺に向けて、
顔をしかめた。


俺なんかのために、同情してくれた。


それだけで良かったんだ。


俺の心は、彼の言った通りに、
スッキリしていた。

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