《MUMEI》

「大人しく従え」

「は‥?」

 草助は何がなんだか分からない。

 だが、それとなく悟った。

「あんたら、ひょっとして雛菊の──」

「貴様っ、軽々しく姫様の名を呼ぶとは何事か!」

「おい‥?」

「待てお前達っ。こ奴は‥」

「御安心を、姫様。この不届き者は我等が──」

「止せっ! 草助は私の恩人であるのだぞ!」

「──雛菊」

「‥‥‥草‥助‥?」

 目を見張る雛菊に、その男は、ただ悲しげな笑みを浮かべていた。

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