《MUMEI》

紅茶の時間が終わって、ようやく動悸が治まってきました。

「───────」

明日からは、この席が僕の食事の場所。

アンリ様が与えて下さったこの席が、僕にとっては特別席。

この御邸に居るのが僕とアンリ様だけで本当に良かったと、そう思います。

だって、誰にも邪魔をされませんから。

もしも他に誰かが居たなら、僕達の関係は許されなかったでしょう。

ましてや、僕が此処にいる事さえ──‥。

本当に運が良かったです。

それを思うと、心がじんわりと暖くなるような気がします──。

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