《MUMEI》

 どうやら、草助は牢に連れて行かれるらしい。

 手首を後ろで固定され、間を二人に挟まれている。

 逃げ出す事は困難だ。

「参りましょう、姫様」

 家来の一人が、雛菊を促す。

「放せっ! 私の言う事が信じられぬのか!?」

 雛菊がいくら叫ぼうとも、その言葉を聞く者はいない。

「草助っ、逃げろ!」

「心配すんなって」

「‥なっ‥」

 雛菊は言葉を失う。

(何を言うておるのだ‥お前は‥)

 雛菊には、どうにも理解し難い事だった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫