《MUMEI》

 草助は濡衣を着せられ、地下牢にいた。

 家来達が、草助が雛菊をさらい、行動を共にしていたのだと思い込んでいるのだ。

(厄介な事になったなぁ‥)

 刀は取り上げられている。

 逃げる術はない。

 あの時、逃げろ、と叫んでいた雛菊の言葉が、やけに頭から離れない。

「困ったなぁ‥」

 頑丈な牢。

 簡単には出られそうもない。

 出たとしても、雛菊はどうなるのだろう。

(あいつは姫だしな‥)

 自分とはまるで立場が違う。

 にも関わらず、彼は彼女の事を密かに想っているのだった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫