《MUMEI》

花瓶の御水を代えていると、気配がして──僕は振り返りました。

「如何──なされました?」

「ううん、ただ‥リュートが何してるかなぁって思って──」

「御水を代えていたんです」

「そっか──」

「何か御用件はございますか?」

「──あのね、お庭で一緒に本読んだりしたいなぁって──」

アンリ様はおずおずと、背に隠されていた本を僕に見せて下さいました。

「では、ベンチに参りましょうか──」

「いいの?」

「勿論でございます」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫