《MUMEI》

誰?半漁人?


両腕には鋭く先の尖った三角形の青黒い鰭(ヒレ)がついていて、


背中には、服越しに大きな背鰭が生えていた。


その鰭は鮫(サメ)を思わせる。


だが牙……は無かった。


そして一時してまた一人、
同じく青く光りながら水を纏い出て来た。


だたし、背が随分と小さい。


俺と同じくらいの年齢かな?


先に現われた奴が後に続いて出て来た少年を見届けると、
シーフォードの方へ向かって深々と頭を下げた。


少年も同じ動作をしている。


そして、


「御体は大丈夫でしょうか、
シーフォード様。」


凛とした、抑揚のある美しい声でそう言った。


「うむ。
今日はだいぶ気分が良い。

クラウドが来てくれたからかな。」


シーフォードは俺に視線を流す。


俺は顔を上げて、
シーフォードにぎこちなく笑い返した。


青年は興味なさそうに俺を横目で見やると、


「そうですか。

始めてもよろしいでしょうか?」


何かを急かす口調でそう言った。


一体何を始めるのだろう?

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