《MUMEI》

 見張りはすぐに引き上げて行き、草助は片目を開ける。

(行ったか‥)

 大きく息を吐き、薄暗い牢獄を見渡す。

(いつまでここに閉じ込められてりゃいいんだろうな‥)

 恐らく今、上では自分の事が話し合われているのだろう。

 果たして、どのような刑が下されるのか。

(まさかあれはねぇよな‥?)

 だが相手は、この男が姫をさらったのだと疑ったまま。

(約束──‥守れなくなっちまうのかなぁ‥)

「───────」

 頭を抱えて、再び草助は溜め息を吐く。

 最早、どうすれば良いのかが分からない。

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