《MUMEI》 アンリ様が御読みになってらっしゃるこのは、妖精や動物達が出て来る御伽話。 アンリ様は、この御話がとても御好きなようです。 日溜の中で本を広げてらっしゃるその御方は、愛くるしい人形のよう。 「アンリ様──」 「?」 きょとんとされたアンリ様の頬に手を触れると、碧い瞳が見開かれ、手にされていた本が、ぱさりと音を立てて落ちました。 「───────」 「‥ぁ‥、申し訳ございません」 手を離すと、少しまだびっくりされながらも、アンリ様は微笑んで下さいました。 前へ |次へ |
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