《MUMEI》 「はいっ 滝澤颯馬でっす!! 本日、蓮翔ちゃんのお友達になりましたっ!」 颯ちゃんはしゃきんと背筋を伸ばすと、 敬礼しながらそう言った。 「ふふ、ヨロシクね、颯馬君。」 「はい!!」 「わざわざ蓮翔を送ってくれたの?」 「いいえ!!」 !? その言葉に、俺も母さんも目が点になった。 「蓮翔ちゃんの父さんに用事があってきました!」 「……ぇえっ!?」 先に悲鳴を上げたのは俺。 あの親父に逆らうなんて考えもしなかったもんだから、 心底驚いてしまった。 母さんはあからさまに嫌な顔をしている。 「りゅ、颯ちゃん……。」 「ん?」 「止めておいた方が身のためだよ。」 「そうよ。 こんな時間だし、 颯馬君も早くお家へ帰りなさい。」 母さんも同意する。 だけど颯ちゃんは俺と母さんの忠告を聞かずに、 ズカズカと家に入ってしまった。 「ちょ、ちょっと颯ちゃん!!」 俺は慌てて颯ちゃんの後を追った。 前へ |次へ |
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