《MUMEI》 続きを御聞かせ頂きながら、うとうととしていると、僕の名を呼ぶ声がしました。 「──アンリ様‥?」 「ぁ‥寝てた? 」 「! 申し訳ございません、御話の途中で粗相を‥」 「ううん。あったかいから眠くなるよね──」 アンリ様は仰り、小さく欠伸をされました。 「ちょっと──お昼寝しようか」 「此処でですか?」 「うん。私も眠くなっちゃった」 アンリ様が目を閉じられたので、僕も暫し眠る事にしました。 瞼を伏せると、春の香りを孕んだ柔らかな風が、ふわり、と通り過ぎていきました。 前へ |次へ |
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