《MUMEI》 第七華草助は、独り悶々として俯いている。 「───────」 「──随分とやつれたな、まだ一日も経っていないというのに」 「! ‥雛‥」 「あまり大声を出すな。気付かれるぞ」 「お前‥何でここに‥」 「話は後だ」 雛菊はいとも簡単に、牢に掛けられた鍵を開けた。 「良いか、ここから出たら右に折れて出口から逃げろ」 「‥? お前何言って‥」 「逃げたら、二度と此処には近付くな」 「‥雛菊‥?」 「お前は私を守ってくれた。今度は──私がお前を守る番だ」 前へ |次へ |
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