《MUMEI》

「おい‥待てよ、どういう‥」

「‥お前は言ったな。自分の身を守れるようになったら──今度は誰かを守る番だ、と」

「ぁぁ‥」

「私はまだ‥自分の身を守れるかは分からぬ。現に今日もお前に助けられたのだからな‥。──だが、私は決めたのだ。お前を守ると。此処から助け出すと。‥我儘を‥聞いてはくれぬか」

「お前はここに残るのか」

「直ぐには出来ぬが‥必ずお前の後を追う」

「───────」

「さぁ‥、行け、草助」

 雛菊が目を合わせないようにして言うと、草助は苦笑を浮かべて姫の頭に手を置いた。

「ありがとな」

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