《MUMEI》 夢を見ていたような気がします──。 とても、幸せな夢を。 アンリ様は──まだ御眠りになられているようです。 「───────」 小鳥の囀りが、子守歌のように響いてきます。 穏やかな寝息が、傍らから聞こえてきます。 艶やかな髪に手を伸ばすと、ザァ、と風が吹いてその金色を靡かせました。 アンリ様を見つめている内、微かに甘い香りがして、僕はハッとしました。 花でしょうか‥。 それとも──‥。 僕はベンチから立ち上がり、辺りを見回してみました。 前へ |次へ |
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