《MUMEI》

「大丈夫だよ、大丈夫」

「アンリ様‥?」

何を仰ってらっしゃるのですか‥?

「ほら、言ったでしょ? 刺したりしないからって」

「──ですが‥」

万一の事があっては‥。

「そうだ‥瓶があるといいんだけど──」

「では、直ぐに御持ち致します」

念の為、アンリ様にも一度御邸に御戻り頂く事にしました。

蜂の巣の所へ戻って来ると、アンリ様は瓶を蜜壷に近付けられました。

「蜂蜜を御取りになられるのですか」

「うん。待っていれば、少ししたら蜜が零れてくる筈だから」

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