《MUMEI》

「──────‥」

「直ぐに御薬を御持ち致します」

「リュート、あのね‥」

「はい」

「レモネード、作ってくれる‥?」

「畏まりました。直ぐに──」

「急がなくて大丈夫。ゆっくり、ね」

「───────」

御辛い筈なのに、何故この御方は笑顔で居られるのでしょう。

御辛い筈なのに──‥。

「リュート‥?」

「ぁ‥、済みません」

しっかりしなくては。

アンリ様の為にも‥僕がしっかりしなくては。

「何か他に‥御要望はございますか、アンリ様」

「ううん、‥ぁ、でも1つだけ、いい‥?」

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