《MUMEI》

「はい、何でもどうぞ」

「側に‥いてくれる‥?」

「アンリ様の御側に──ですか」

「うん、そうしてくれたら、元気になれそうな気がするの」

「──はい、ではレモネードと御薬を御用意し次第」

「ありがとう──」

熱を帯びて赤くなった頬をさらに染めて、アンリ様はふわりとした笑顔を向けて下さいました。

僕は笑い返すとキッチンに向かい、蜂蜜入りのレモネードと解熱剤を用意して御部屋に戻りました。

アンリ様は横になられたまま、御顔だけを僕の方に向けて、また笑い掛けて下さったのです。

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