《MUMEI》

しばらくして1階に降りると、とてもいい匂いが漂ってきた。


キッチンに入ると、清水さんが大きな中華鍋を振っていた。



「お、みつる」



清水さんは私に気付くと、コンロの火を止めた。



「チャーハン、作ってたんだ。
最近お前の腕がめっきり落ちたって、すみれさん嘆いてたから」



そう言って困ったように笑う清水さん。



―…そうだ。
簡単な料理から挑戦しようとしてるけど、
なかなか上手くいかない。


…今までよりは、断然できるようになったけど…



恥ずかしくなって俯くと、



「まあ、そういうこともあるよなあ。
―…食うか??美味いぞ〜!!
勇作のにはさすがに劣るがな」



『勇作』さん、―…椎名くんのお父さんのことなんだろう。


清水さんは私の肩を軽く叩いて、励ますようにそう言った。



お腹がとても空いていたので、私は大きく頷いた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫