《MUMEI》
夏休み初日
「おはよう!ハニー」


(胡散臭い)


爽やか過ぎる笑顔。


見なかった事にしたいが、怖くてできない俺は…


「おはよう… …ダーリン」


結局、忍に合わせる事にした。


(またこの展開かよ…)


「今度は何処に行くんだ?」


俺は、諦めモードで行き先を尋ねた。


「山」


(まさか、高山家が海だから、対抗してじゃないだろうな)


忍に引っ張られながら、そんな事を考えていた。


駐車場にはいかにも山向きな4WDが停まっていた。


「行くぞ」


(もう、どうにでもしてくれ…

でも

二月みたいに温泉や美味い料理があればいいな…)


そんな事を思いながら


俺は、車内で爆睡した。







「着いたぞ」

「…ここ?」

「そうだ」


(ここって…)


「金持ちの別荘っぽい…」


目の前ににあったのは、白い洋館だった。


山頂にある建物はそれ以外に見当たらず、そこは外界とは完全に遮断された空間だった。


そんな環境は、春日家によく似ていた。


「ここは、旦那様の父親の持ち物だったが、今は父の所有物だ」


(だからか)


忍の説明に、俺はものすごく納得していた。

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