《MUMEI》
桜吹雪と記憶の欠片(櫻視点) 55・56
その時


私に覆い被さっているのは、蒼様のはずなのに


私の頭の中にはある方の、姿が


血まみれの


『昭人…様?』

『櫻…櫻…』


ヤメテ…


怖い、怖い…


私の着物は血まみれ


私の、吐いた、大量の血で、真っ赤な、着物…


『可哀想に、こんなに冷たくなって…』


それは…


血を吐きすぎて


虫の息で


死 ヌ カ ラ


『俺達の邪魔する者は、皆殺してあげたからね?』


な…に…?


何も、聞こえない…


『だから、一つに、なろう。ずっと一緒にいよう。

大丈夫

好きだよ、櫻

たとえ…

オマエ ガ 死体 二 ナッテモ

俺ハ

永遠二

櫻ガ

好キ ダ』


その、言葉に、目を開けた私が見たのは

桜吹雪だけでした


そして、私はまた目を閉じました


眠くて、眠くて


仕方なかったのです…


『昭人の行方を知ってるか?』


いいえ…


いいえ、蒼様


私は何も


何も、知りません

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