《MUMEI》

どうしたら、楽にして差し上げる事が出来るでしょう。

「‥ぁ‥」

僕は、ある事を思い付きました。

今は出来ません。

それをするのは、アンリ様が御眠りになられたら。

「ねぇリュート──‥」

「はい、何でしょうか」

「熱が下がったら、またお庭で本読んだりしようね?」

「──はい」

ですから、早く御元気になって頂きたいです──。

「少し──眠るね」

「はい。御側に居りますので、御安心下さい」

「うん、ありがとう」

アンリ様は仰り、ゆっくりと瞼を伏せられました。

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