《MUMEI》

「ねー、ねーねー、いつ安西君紹介してくれるの?」

水瀬、安西への猛攻愛を俺に語りかけてくる。


「……待ってよ、早いよ水瀬……」


「だって、推薦でぱっぱと大学も決まってるから暇なんだもーん。いい加減彼氏欲しいー!」

その余裕、羨ましい限りだ。


「俺は受験勉強で忙しいからっ。」

放っておいてください。


「じゃあ、好きなタイプ聞き出しといてよ!」


「……がつがつしてない女子だって。」


「安西君のタイプを聞いてるの。」

水瀬も普段は笑顔の可愛い体育会系女子なのに……。

「分からないな」

突き放してやれ。


「そか、所詮無理な話だったみたいね。」

水瀬……諦めたようだ。
い、言い過ぎたのか?しょんぼりしてる。


「……映画、観たいのがあるみたいだから一緒に行けるか誘ってみるね。」


「イヤーン、優し〜い!アリガトー!」

水瀬、本当に笑顔“だけ”は可愛いと思う。

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