《MUMEI》

さて‥そろそろですね──。

アンリ様が完全に御眠りになられている事を確かめると、僕はアンリ様の首筋に牙を当てました。

自分の為にではありません。

アンリ様の為なんです。

「───────」

その血は、ちょっぴり蜂蜜の味がしました。

少し多めに吸ってしまいましたが‥御目覚めになる頃には熱は下がってらっしゃると思います。

僕にはこれ位の事しか出来ませんが、御役に立てていたら嬉しいです──。

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