《MUMEI》

 時は夕暮れ。

 行く当てもない若人は、只とぼとぼと彷徨っていた。

「あっ、お兄さんお侍さん?」

 草助が振り返ると、三人の子ども達が彼を見ていた。

「ん、ぁぁ。‥一応な」

「どこ行くの?」

「どこだろうな──」

「お兄さん、ひょっとして旅人?」

「ぁぁ。お前ら──早く家帰れよ?」

「うんっ」

「じゃあね!」

「おう、気ぃ付けて帰れよ」

 去り際に草助が軽く手を掲げると、子ども達は彼に手を振り家路を急いだ。

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