《MUMEI》

僕は側で、アンリ様が御目覚めになられるのを待っていました。

「───────」

「御目覚めになられたようですね」

「うん──。‥あれ‥」

アンリ様は御自分の額に触れられ、きょとんとされています。

「下がってる──」

「御具合は如何ですか?」

「あんなに熱かったのに──‥嘘みたい」

熱が下がり、御体の調子も戻られたようです。

「──リュートが‥治してくれたの?」

「──ぇ」

何故御気付きになられたのでしょう‥。

アンリ様は御休みになられて居た筈──。

御存じの筈無いのですが‥。

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