《MUMEI》 蛇今日、やっとオフが出来た。 国雄に何度も何度も前日に確認して、部屋は仕事の合間を縫って二週間前からこつこつ掃除しておいた。 金曜日の開校記念日を狙って家に来てくれる。 「目立つんだから大人しく部屋にいなさいよ。」 待ち切れずに家の付近をうろうろしてしまった。 「あー!いらっしゃい!」 そのまま仕事に行くようでスーツ仕様だ。 嬉しすぎてついつい大声になってしまう。 「光くーん、ちょっと興奮し過ぎじゃないですか?」 頭を犬みたいにわしゃわしゃしてくれた。 「黒スーツ、黒スーツ!」 ネクタイしてくるなんて珍しい。 「アハン、似合う?執事みたい?」 サングラス下から視線を配る。 会話内容より遥かに色気を含んだ仕種と声だ。 執事はネクタイじゃない気がするけど素敵。 女子なら黄色い声で叫びたいです。 「んー、SPみたい。」 二メートルの黒い壁のようだ。 そこがまた…… 「じゃあ、家までガードしてったげるかな。」 横にぴったり寄り添って部屋に向かう。 前へ |次へ |
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