《MUMEI》

「うわ、何も無ェ!」

入って第一声がこれか。

……否定は出来ない。
衝動買いした白いソファー二つとテレビ、片付けたらそれ以外はマトモな家具が見当たらなかった。
つまり、部屋の半分以上がゴミやら雑貨だった。


「押し入れがかなりヤバイよ?」

床にあった物はなんでも詰めた。


「ソファーあるのにテーブル無いんだ?硝子のやつ置くといいんじゃん?」

ソファーに腰掛けて天井を見上げていた。
それなりに寛いでくれているようだ。


「コーラ飲む?」

冷蔵庫から冷やしたコーラを出す。


「あ、じゃあ何か作る?朝ご飯喰ったか?俺抜いてきちゃってさー。ハンガー頂戴。」

上着を脱いでネクタイ取って腕まくりをした、国雄さん本気だわ……!


「はい、
おうどん食べたいです。なんか、麺貰ったんだけど面倒臭くて。」


「茹でるだけなのに。」

汁作るの面倒臭い。


「国雄のが絶対美味しく作るもん。」

とか、家に呼んだのに料理番組になってるし。

国雄の料理は美味いので食べたくなるのも事実だが。

「ンーマイ、天才。」

そしてただのうどんをベタ褒めしてしまう。


「図鑑好きなの?」

隠してたのに図鑑なんて何処から見つけてきたんだろう。


「台本読むリフレッシュに写真集とか図鑑とか文章のあまりないものを……ズルル」

うどんんまいな。


「へー、器は流しに置けばいい?」

パラ読みしていた図鑑を閉じて俺が食べた分の食器も下げてくれた。

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