《MUMEI》

アンリ様は、首筋に手を当てられて、御気付きになられたようです。

「やっぱり──」

「‥如何なされました‥?」

「リュートが治してくれたんだね」

「いえ、僕は何も──‥」

「分かるよ? 私にはちゃんと──」

「申し訳ございません‥勝手な真似を‥」

「ありがとう、リュート」

「‥?」

「リュートは体‥大丈夫?」

「はい、僕の事でしたら御心配無く」

「移ったりしないかな‥」

「大丈夫ですよ。──?」

アンリ様の手が、僕の額に触れました。

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