《MUMEI》

「おはようございます」

「おはようございます」


今日は何も食べてない。
だって昨日は食べ終わるまで見届けたから……。



「君朝早いんだね」

「朝練の習慣抜けなくて…」


「へ〜…、朝練してたんだ、俺んとこはバスケ部しかしてない」


あ、三中バスケ部強いもんね。
ふ〜ん…


犬かもしれないのに三中の事詳しい。


「今日君に会えてよかった」


「え?」


「さようなら、じゃあ…」



「え?………」



さようなら??





さようならって??




男は立ち去った。
いつもの様に立ち去った。



さようならって?





さようならって?





いきなり現れて恩返しもなく去るなんて聞いた事がない!



鳥類の鶴だって石で出来た地蔵だって頑張って恩返ししているのに!
私はあの男から何もしてもらってない!




な〜んて…



犬の訳ないよね




でも犬かもしれない





私は気がついたら、



泣いていた。

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