《MUMEI》 「──どうやら‥間に合ったようだな‥」 その声に、雛菊は振り返る。 「兄上‥?」 「此を持って行け」 「‥これは‥?」 手渡されたのは、家紋が入った御守。 「宜しいのですか‥?」 「道中、何が起きるか分からぬ。持って行け」 「有り難うございます」 雛菊は礼を延べ、城を後にした。 ようやく昇り始めた朝日が、辺りを照らし出す。 (さて、あいつを驚かせてやるとするか──) 足取りは軽い。 あの男を想うからだろうか。 前へ |次へ |
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