《MUMEI》

晩餐の後、御部屋に御邪魔させて頂くと──

「ちょっと待ってね、すぐに準備終わるから──」

アンリ様は格子柄の盤の上に、変わった形の駒を並べていました。

このような物を見たのは初めてです。

「何かのゲーム‥ですか?」

「うん。チェスっていってね、面白いんだよ」

「ええと──‥」

「大丈夫、リュートならすぐに出来るようになるよ」

アンリ様が仰り、僕は向かい合わせの席に案内されました。

「色んな形の駒があるんですね──」

見ているだけでも楽しいです。

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