《MUMEI》
嬉しい再会
「…っ…護!」

「祐也様」


(相変わらずだな)


昔から、護は


忍の父親だけは、俺を様付けで呼ぶ。


「久しぶり!」

「お久しぶりです」


ガシッ!


俺は、久しぶりに護に会えたのが嬉しくて、居間のソファーに座っていた護の胸に飛込んだ。


「御立派になられましたね」

「エヘヘ…」


護は俺の勢いに押されながらも、俺の体を何とか受け止め


昔のように、頭を撫でてくれた。


(そうだ、この感触だ…)


俺は旦那様と同じ位


護を父親として好きだった。


バリッ!


「いつまで引っ付いてる」

思い出に浸っている俺の体を


忍は護から引き離した。


「嫉妬か、忍」

「冗談はやめて下さい」


(嫉妬?)


俺は、余裕の笑みを浮かべる護と


心底嫌そうな顔をしている忍を交互に見つめた。


(もしかして、護を俺に取られたとか思ってるのか?)


護は忍の父親で


同時に、忍が目標としていた優秀な執事だ。


「心配しなくてもいいのに」


(別に取らないのに)


俺が満面の笑みを浮かべて二人にそう告げると


何故か、二人とも無言で、微妙な表情をしていた。

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