《MUMEI》
気になる事
コンコンッ


ガチャ


「…夜這いか?」

「違う!」


俺はバスタオル一枚の忍を睨みつけた。


「訊きたい事がある」

「入れ」


そして、俺は


俺が泊まっている部屋とは違い、シンプルなモノトーンで統一された忍の部屋に入った。


「何だ?」

「護の事だ」

「…気付いたか」

「当たり前だ」


護は、俺に対する態度は変わっていなかった。


ただ、抱きついた体も


撫でてくれた手も


昔より、明らかに筋肉が落ちて小さくなっていた。


俺が、大きくなったから


護が年をとったから


そんな理由だけでは片付けられない何かが


今の護には感じられた。


「お前の大好きな婆さんと一緒だ」


大好きな婆さん


春日さん


(確かに…)


先日、葉月さんが久しぶりに載せた春日さんの写真


余命少ない、春日さんの表情と体型


それに、今日会った護は悲しい程によく似ていた。


「護の奥さん…忍の母親は?」

「もう死んでる」

「妹は?」

「妊娠中」

「そうか」

「…最期に気になったのは、お前の事だったらしい」

「…そうか」

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